対話の窓口では「ラボラトリー方式の体験学習」で研修を進めます。下の図は、「ラボラトリー方式の体験学習」の「循環過程」を表しています。
「体験学習の循環過程」は、4つのステップからなり、この4つのステップを循環することで体験から学ぶことを実現します。座学やスキル研修といった教えられたことを覚える「伝承型の知的学習」より、体験から学ぶため腹落ちも良くしっかり学ぶことができます。
以下は、それぞれのステップについて説明しています。
2019津村俊充
【Step1 体験】
体験は、ラボラトリー体験学習の実習での体験を指します。
【Step2 意識化】
グループの中での自分や他者、グループのダイナミックスを理解するために、感受性豊かにグループの中に起こっているプロセス・データを拾い集めることが必要になります。目に見えている話題や課題だけでなく、その活動の間に起こる目に見えにくい心理的関係的なプロセス・データを見つけ出せる様な視点を持った内省と観察が大切になります。どうしても学習者は、自分に足りないものや課題になるような問題に目が向きやすいが、他者から思いがけない価値ある自分や他者理解に有効な学びを得ることもできます。ファシリテーター(講師)やグループメンバーが支援し合います。
【Step3】 分析
このステップは、Step2で収集されたデータが意味するもの、そこにいるメンバーの特徴やグループダイナミックスの現象を解明する分析のステップです。Step2でメンバー相互に気づいたことや考えたことなどを率直にわかちあいができる関係作りが大切である。なぜそのことが起こったのか、個人やグループの特徴やパターンとして、どんなことが考えられるかなどを分析する。このわかちあいの時間が自由に語り合えるようになるためにもこのStepでのメンバー間のかかわり方が大事になり、ファシリテーター(講師)の働きかけも重要です。ファシリテーター(講師)は、体験からの具体的な気づきを概念化や一般化ができるように支援します。
【Step4 仮説化】
このステップは、Step3で分析した学びを応用し、自分やグループの成長に生かすために、メンバー自身が具体的に実験的に取り組む課題を見出すステップです。仮説化する課題は、できる限り具体的な行動目標でであることが望ましい。
「仮説化」のステップでたてた行動目標を実際に試み、それが新しい「体験」となり、内省や観察を通して「意識化」し、その仮説が適切であったのか、またその試みがなぜ成功したか失敗したかなどを「分析」し、さらに成長のための新しい「仮説化」を行うといった、体験学習の循環過程を通して新しい行動を習得するといった循環過程を持ち続けることが「学び方を学ぶ」ということである。
津村俊充「改訂新版 プロセス・エデュケーション」より抜粋